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不動産の囲い込みとは|見抜き方・対策・通報窓口・契約解除まで完全ガイド

不動産売却の「囲い込み」を業者がする理由・見抜き方・5つの対策・通報窓口・契約解除手順を網羅解説。2024年のレインズ規則改正の動向、両手仲介の仕組み、囲い込み業者リストの実態、媒介契約3類型の違いまで。専任媒介・専属専任媒介で売主が知らずに損をしないためのチェックポイントをまとめました。

不動産を売却しようとしたとき、**「囲い込み」**という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

囲い込みは売主が知らないうちに損をする可能性がある慣行で、不動産業界の長年の課題でもあります。国土交通省は2024年6月の宅建業法施行規則改正(2025年1月施行)でレインズへの取引状況(ステータス)登録を義務化し、囲い込みが確認された業者は指示処分の対象とするなど、制度的な抑制を進めています。一方で、現場での実態把握は依然として売主自身に委ねられているのが現状です。

この記事では、囲い込みの仕組み・業者の見抜き方・通報窓口・契約解除の進め方まで一通り解説し、「囲い込み業者リスト」を探している方への代替アプローチも示します。

囲い込みとは

囲い込みとは、売主から不動産の売却を依頼された仲介業者が、他の業者(買い手側の業者)からの問い合わせを意図的に断り、自社で買い手を見つけようとする行為です。他業者の問い合わせ経路となる**レインズ(業者間の物件共有システム、詳細は後述)**を実質的に機能させない手口です。

健全な仲介と囲い込みの違いを示す対比図。左側『健全な仲介』は売主→売主側業者A→REINS→複数の買主側業者→複数の買主と情報が広く流れる。右側『囲い込み』はREINSと他業者への接続が×印でブロックされ、売主側業者Aが直接1人の買主と両手仲介を狙う構図
健全な仲介と囲い込みの違い。REINSを介して情報が広く共有されれば買主候補の競争が働くが、囲い込みではその経路がブロックされ売主側業者が両手仲介を狙う

なお、両手仲介自体は合法な取引形態であり、問題視されるのは両手を狙って他業者からの問い合わせを意図的にブロックする「囲い込み」行為の方です。

なぜ囲い込みをするのか

不動産の売買仲介では、業者は仲介手数料を受け取ります。

  • 片手仲介: 売主側の業者と買主側の業者が別々の場合、それぞれが一方からのみ手数料を受け取る
  • 両手仲介: 同じ業者が売主・買主の両方を担当する場合、両方から手数料を受け取れる

両手仲介の場合、仲介手数料が2倍になります。これが囲い込みの動機です。

仲介形態業者の収入(売買価格3,000万円・上限料率「3%+6万円」+消費税)
片手仲介約99万円(売主側のみ)
両手仲介約198万円(売主・買主両方から)

媒介契約の3類型(売主が業者と結ぶ契約)

囲い込みの話では、売主と業者の間で結ばれる媒介契約の種別が重要になります。種別によって他業者を巻き込む余地と、業者の義務(レインズ登録・業務報告)が変わるためです。

契約種別他社への同時依頼レインズ登録義務業務報告
一般媒介複数社に依頼可任意任意
専任媒介1社のみ契約から7日以内2週に1回
専属専任媒介1社のみ(売主自身で買い手を見つけることも不可)契約から5日以内週に1回

囲い込みのリスクは専任媒介・専属専任媒介で高まります(一般媒介は構造上、業者間の競争が起きるため)。

囲い込みの何が問題か

囲い込みは売主の利益を損なうことが問題です。

  • 他業者が買い手候補を連れてこられないため、買い手の数が限られ、競争が起きない
  • 競争がなければ、より高い価格での売却機会を失う可能性がある
  • 売却に時間がかかり、機会損失が生じる

なお、囲い込み自体は宅建業法に明文化された違反項目ではありませんが、レインズへの不登録・虚偽登録は媒介契約上の義務違反です。前述のとおり2025年1月施行の改正でレインズのステータス管理の登録が義務化され、虚偽登録があれば宅建業法第65条に基づく指示処分の対象となるなど、規制強化の動きも見られます。

「囲い込み業者リスト」は存在するのか

「囲い込み 業者リスト」「囲い込みする不動産会社一覧」といった情報を探している方は少なくありません。結論から言えば、公式に公開された「囲い込み業者の一覧」は存在しません。理由は次のとおりです。

  • 前述のとおり囲い込み行為自体は明文の違反項目ではないため、行政処分が下されるケースは限定的で業者名が公表されにくい
  • 個別の口コミや告発はあっても、第三者が網羅的に検証した「リスト」を公開すれば名誉毀損のリスクがある

つまり「リストを探して避ける」アプローチは現実的ではありません。代わりに、次のような公開情報を組み合わせて判断することが現実解です。

  • 行政処分歴の検索 — 国土交通省・各都道府県は宅建業者への行政処分を公表。レインズ違反・誇大広告などで処分歴がある業者は要注意
  • 免許更新回数 — 営業継続年数の客観指標として、長期間営業を続けている業者は評判維持の動機が強い傾向
  • 宅建業者検索Map — 全国の宅建業者を地図上に表示し、免許情報・更新回数で絞り込み可能

囲い込み業者の「ブラックリスト」を探すより、信頼できる業者を複数比較するためのホワイトリストを自分で作る方が、結果的に被害を防ぐ近道です。

囲い込み業者の見抜き方|契約前後の5つのチェック方法

「この業者は囲い込みをしていないか?」を判断するには、契約前の姿勢契約後の行動の両面を観察する必要があります。以下の5つは、特別な情報網がなくても売主自身で確認できる代表的な見抜き方です。

その前提として、**レインズ(REINS:Real Estate Information Network System)**を知っておく必要があります。国土交通大臣が指定した4つの指定流通機構(東日本・中部圏・近畿圏・西日本)が運営する不動産流通標準情報システムで、全国の不動産業者が物件情報を共有する業者専用システムです。専任・専属専任媒介を結んだ業者は一定期間内にレインズ登録義務を負います。

1. レインズの登録状況を確認する

専任媒介・専属専任媒介契約の場合、業者にはレインズへの登録義務があります(専任媒介は7日以内、専属専任媒介は5日以内)。

売主はレインズへの登録後、登録証明書の交付を受けられます。業者から登録証明書の提示を求めましょう。証明書に記載の取引IDで、売主自身がレインズの売却依頼主向け確認画面から物件の登録状況・現在のステータスを確認することも可能です。

2. テスト問い合わせをする

知人に別の不動産業者社員を装って問い合わせてもらうか、自分が買い手のふりをして問い合わせる方法があります(内覧の申し込みをして、案内してくれるか確認)。

案内を断られたり、「商談中」と言われたりする場合は囲い込みの疑いがあります。

注意: 別の業者社員を装う行為は業務妨害と評価されるリスクがあります。実施する場合は「買い手として内覧申込」のみに留めるのが無難です。

3. 一般媒介契約を選ぶ

一般媒介契約は複数の業者に同時に売却を依頼できます。複数の業者が競争するため、囲い込みのリスクが減ります。

ただし、各業者のモチベーションが下がる・業者間の競争感が薄れてレインズ登録自体が後回しになるなどのデメリットもあるため、依頼する業者数と段取りには工夫が必要です。

4. 業務報告書の問い合わせ件数を精査する

専任媒介・専属専任媒介を結ぶと、業者から定期的に業務報告書が届きます(専任は2週に1回、専属専任は1週に1回)。「問い合わせ件数:0件」が長く続く一方で、別の業者経由のテスト問い合わせでは反応がある、というギャップがあれば囲い込みのサインです。

5. 「広告掲載の可否」を明示しているか

レインズへの登録時、囲い込み業者は**「他社による広告掲載:不可」**としていることがあります。SUUMO・HOME'S・アットホームなどのポータルサイトを横断検索しても自社しか掲載していない場合は、他社経由の流入を意図的に絞っている可能性があります。

囲い込みを疑ったときの通報窓口

明らかに囲い込みを受けていると判断できる場合、または専任・専属専任媒介でレインズ登録義務違反が疑われる場合は、以下の窓口に相談できます。匿名で相談できる窓口もあります。

まず叩く一次窓口(一般消費者向け)

  • 消費者ホットライン 188(消費者庁)— ダイヤルすると最寄りの消費生活センターに転送される全国共通番号。匿名相談可
  • 国民生活センター — 不動産取引トラブルの相談実績が多く、必要に応じて関係機関を案内してもらえる

「いきなり監督官庁や弁護士はハードルが高い」という方は、まずここを叩くと方針が整理できます。

1. 各都道府県の宅建業免許所管課(監督官庁)

業者の宅建業免許を出している都道府県(または国土交通省)が監督権限を持ちます。免許番号の括弧の前の文字が**「東京都知事(○)」であれば東京都、「国土交通大臣(○)」**であれば国土交通省が所管です。

各都道府県には宅地建物取引業法に関する相談窓口があり、レインズ登録違反・媒介契約違反等の申し立てを受け付けています(窓口名称は「不動産業課」「建築指導課」等、自治体によって異なります)。

免許番号の読み方もあわせて確認しておくと、どこに通報すべきかすぐ判断できます。

2. 不動産流通機構(レインズ)への問い合わせ

物件のレインズ登録状況や、登録証明書の真偽について不審がある場合、該当の地域不動産流通機構(東日本中部圏近畿圏西日本)に直接問い合わせできます。

売主本人であれば、媒介契約書に記載のレインズ取引IDを使って物件登録状況を確認することも可能です。

3. 公益財団法人 不動産流通推進センター(業界横断の相談窓口)

国土交通省所管の業界団体で、不動産取引全般に関する電話相談を無料で受け付けています(平日10:00〜15:00)。法的助言というより取引慣行に関する第三者意見として参照すると有用です。

4. 弁護士・司法書士への相談

囲い込みによって明確な損害が生じた場合(売却機会の逸失額が算定できる等)、媒介契約上の善管注意義務違反として損害賠償請求を検討できます。**法テラスの民事法律扶助(収入・資産要件あり)**を利用すれば、同一問題につき3回まで無料法律相談を受けられます。

通報・相談の前に、業者から受け取った業務報告書、レインズ登録証明書、メール・LINE等のやり取り、テスト問い合わせの記録を時系列で整理しておくと、調査がスムーズに進みます。

囲い込みを確信したら:媒介契約の解除・業者変更

通報と並行して、囲い込みを続ける業者から離れる手続きも検討します。

媒介契約の期間と解除

媒介契約の期間は宅建業法で最長3ヶ月と定められており、満期を待てば更新せずに別の業者へ切り替えられます。

期間中でも、業者の重大な義務違反(レインズ非登録事実と異なる業務報告等)が立証できる場合は、債務不履行を理由に中途解除が可能です。証拠(業務報告書・テスト問い合わせの記録・レインズ登録証明書の有無等)を揃えた上で、内容証明郵便など書面で解除通知を送付します。

業者変更の段取り

  1. 証拠の保全: 業務報告書・メール・LINE・テスト問い合わせ記録を時系列で保存
  2. 解除通知の送付: 中途解除の場合は書面(できれば内容証明郵便)で
  3. 次の業者を選定: できれば一般媒介で2〜3社に同時依頼し、業者間の競争を働かせる
  4. 物件情報の再公開: 新業者にレインズ登録・ポータル掲載を依頼

中途解除はトラブルになりやすいので、複雑なケースでは前述の弁護士相談を併用することをおすすめします。

囲い込みを防ぐ業者の選び方

囲い込みは新規・老舗を問わず発生しうると考えられます。特定の業者タイプを疑うよりも、仕組みで防ぐことが根本的な対策です。

複数業者に査定を依頼する(最重要)

1社だけに依頼せず、3〜4社程度を目安に査定を依頼して比較することが最も効果的な対策です。複数の目が入ることで、1社による囲い込みを構造的に防げます。

「この業者に任せる」と決めた後も、レインズへの登録状況や問い合わせ件数を定期的に確認する習慣をつけましょう。

免許更新回数と行政処分歴を確認する

免許更新回数行政処分歴は業者を選ぶ際の参考情報の一つです。ただし、これらは業者の誠実さを保証するものではなく、あくまで判断材料のひとつとして活用してください。

売却実績と口コミを確認する

その業者の売却実績・成約価格・期間や、過去の売主の口コミを確認しましょう。口コミに「他社の紹介を断られた」「なかなか内見が入らなかった」といった記述がある場合は慎重に判断してください。

宅建業者検索Mapでエリアの候補をリストアップする

宅建業者検索Mapでは、地域の宅建業者を免許更新回数の色分けで確認できます。査定依頼候補をリストアップする際は、エリア内の免許更新回数が多い(青・紺)業者を優先的に検討してみてください。

都道府県別の宅建業者一覧は以下からアクセスできます。

まとめ

  • 囲い込みとは、仲介業者が両手仲介を狙って他業者の買い手を排除する行為。両手仲介自体は合法だが、他業者ブロックは売主の利益を損なう
  • 媒介契約は一般/専任/専属専任の3類型。囲い込みリスクは専任・専属専任で高い
  • 「囲い込み業者リスト」は公式には存在しない。行政処分歴・免許更新回数を使ってホワイトリストを自分で作る方が現実的
  • 業者の見抜き方は5つ:レインズ登録証明書、テスト問い合わせ、一般媒介、業務報告書の精査、広告掲載可否の確認
  • 疑いが強い場合は**消費者ホットライン 188・都道府県の宅建業免許所管課・レインズ・不動産流通推進センター・弁護士(法テラス)**等に通報・相談できる
  • 確信したら媒介契約の解除・業者変更へ。期間中でも重大な義務違反があれば中途解除可能
  • 根本対策は3〜4社への査定依頼宅建業者検索Mapで地域の候補をリストアップしよう

不動産売却は人生で最も大きな取引のひとつ。業者選びに十分な時間をかけることが、囲い込み被害を防ぐ最善策です。

参考: 公式情報・相談窓口

本記事は以下の一次情報を元に作成しています。最新の取扱いは必ず公式ページをご確認ください。